
親子間クリニック承継ガイド|成功のコツや費用を解説
親から子へクリニックを承継する際、新・旧の院長間で起こり得る「経営方針のズレ」にお悩みの方も多いでしょう。
そこで今回は、親子間でのクリニック承継を成功させる方法について解説します。また、クリニック承継の方法や費用相場もまとめました。最後までチェックして、経営面・金銭面ともにクリニック承継を成功させましょう。
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クリニック承継とは?
まずは、クリニック承継の主な種類と特徴を紹介します。クリニックの承継方法は大きく「親族承継」と「第三者承継」に分けられます。それぞれの方法や特徴をみていきましょう。
- 親族承継:医師免許を持つ子どもや親族などに引き継ぐ方法
- 第三者承継:親族以外(内部人材など)へ引き継ぐ方法
第三者承継を選択した際、内部人材にクリニック継承者がみつからない場合、受け継いでくれる医師を新たに雇用したり、メディカルバトンなどの仲介会社を利用したりします。
第三者へ承継するメリットは、譲渡金を受け取れることです。しかし、経営方針や理念が大きく変わる可能性が高く、スタッフや患者様は不安を感じてしまうかもしれません。
一方、親族承継の場合、経営方針や理念が大きく変わる心配が少なく、引き継ぎがスムーズにできるでしょう。また、承継する側にとっても、患者様をそのまま引き継げたり、開業資金が抑えられたりとメリットが多くあります。
親子間クリニック承継を成功させるコツは親が即引退?!
親から子へのクリニック承継は、比較的主流となっている方法です。しかし、経営方針のズレなどのトラブルが起きることもあります。
例えば、「実家のクリニックを継いだら自費診療を導入したいけれど親に反対されている」などと悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、親子間クリニック承継のトラブルを防ぎ、経営を成功させるために「親世代の引退」をおすすめしています。親世代が残ることで起こる問題や、引退を推奨する理由をみていきましょう。
親が残ることで起こり得る問題
親世代が引退せずに残っているクリニックでは、経営方針がまとまらない傾向があります。クリニックを受け継いだ新院長が新しいことに挑戦しようとすると、変化を嫌うスタッフが前院長の意見を利用して反対するケースも。クリニック内で対立関係が起きてしまうかもしれません。
その結果、例えば自費診療をやりたいというような改革が実行できないという現状が生まれる可能性が高くなります。
指揮系統は1人がベスト!
クリニックの方針がバラバラにならないために、親世代は完全に引退することをおすすめします。改革や決定に100点満点の答えはありません。しかし、その決定をより良い方向に持っていくためには、クリニック全体が一丸となる姿勢が大切です。
親世代が引退することで、指揮系統が1人に。組織図や役割が明確になり、スタッフは「誰に聞けば正解か」がはっきりとします。
方針がバラバラにならないためにも、クリニックをどうしたいのかを新院長が主導で語り、それに沿った組織と意思決定の構造を作りましょう。
親世代のスタンスは?
しかし、親世代にとっては「子どもが心配」でつい口を出したくなることもあるでしょう。しかし、経営者にとって失敗はつきものです。親世代は「失敗を経験してこそ育つ」ということを忘れてはいけません。
子どもがクリニックの経営者として成長するためにも、そして家族関係を良好に保つためにも、いさぎよく一線から退きましょう。
親子間クリニック承継の費用と相場
最後に、親子間でクリニックを承継する際にかかる費用と相場について解説します。
親から子へクリニックを承継する流れ
親から子へクリニックを承継する手順は以下のとおりです。
- 旧院長と新院長で事業譲渡契約を交わす
- 所管行政機関や保健所と事前協議を行う
- 廃業届・開業届を提出する
- 旧院長・新院長の両者ともに保険医療機関指定の申請を行う
親から子へクリニックを承継する場合、事業譲渡契約書は必ずしも必要とは限りません。しかし、トラブル回避のためにも作成を推奨します。
親から子へクリニック承継する際にかかる主な費用
親から子へ個人クリニックを承継する場合、贈与という形式が一般的でしょう。その場合「贈与税」の対象となります。また、死後相続の場合は「相続税」の申告が必要です。
承継の方法やタイミングによって税負担が変わるため、税理士や専門家へ相談しながら進めるとスムーズでしょう。
譲渡でクリニックを承継する費用の相場
贈与や相続以外にも、譲渡対価を支払って買い取る方法があります。第三者承継の場合に多く、収益力や資産価値などによって金額が決められるのが一般的です。
譲渡対価金額の相場は、2,000~4,000万円です。一般的に、診療科目やエリアではなく、年間利益額や建物・機器の価値、設備の新しさなどで価格が決められます。また、専門家の評価で適正価格の判断を仰ぐ場合、手数料などが別途発生します。
先代は引退の覚悟を!親子間クリニック承継を成功させよう
第三者承継に比べて、クリニックで働くスタッフにとっても、手続きに関しても、スムーズに進めやすいのが親子間クリニック承継のメリットです。
その一方で、距離の近い親子だからこそのトラブルが発生するリスクがあるのも事実。クリニック承継後は、指揮系統が1つとなる体制の確保が成功につながるでしょう。
ぜひ、クリニック承継の際には、親世代の完全引退を検討してみてください。
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