catch-img

脂肪層の温度上昇を引き起こすメカニズムを徹底解説!ハンドピース開発における工夫も

近年、さまざまな痩身技術が登場していますが、今回は、脂肪層の温度上昇に着目します。RF(高周波)のメカニズムと効率的な加熱技術について、科学的根拠に基づき徹底解説。

また、RF(高周波)の照射によりなぜ脂肪層の温度が上がるのか、ハンドピースの設計ではどのような工夫が施されているのかといった、秘密に迫ってみましょう。


目次[非表示]

  1. 1.脂肪層の温度上昇を引き起こす原理とは?
    1. 1.1.RF(高周波)の発熱プロセスには誘電加熱とジュール加熱がある
    2. 1.2.通常のジュール加熱では脂肪細胞内に電流が流れることはない
    3. 1.3.細胞膜の容量特性と脂肪細胞内に電流が流れる仕組み
    4. 1.4.脂肪細胞内部で急激な温度上昇が起こるわけ
  2. 2.効率的な加熱を実現する技術:ハンドピース設計における工夫
    1. 2.1.脂肪細胞の温度上昇に重要なのは「電流密度」
    2. 2.2.理想的なハンドピースのデザイン
  3. 3.高周波(RF)治療における注意点
  4. 4.脂肪層に急激な温度上昇をもたらすならRF(高周波)のハンドピースに注目


脂肪層の温度上昇を引き起こす原理とは?


RF(高周波)による脂肪層の温度上昇は、チップの先端の形状を開発に関わってくる重要な内容です。

始めに、脂肪層の急激な温度上昇を引き起こす原理について解説します。なお、今回ご紹介する内容はジュール加熱に限った内容です。


RF(高周波)の発熱プロセスには誘電加熱とジュール加熱がある


RF(高周波)治療には異なる2つの発熱プロセスがあり、使用する機器を選ぶポイントでもあります。

誘電加熱とは、肌の電気の受けやすさ(誘電率)によって熱を発生させる仕組みのこと。電気を通さない物質にもアプローチ可能な点が特徴です。

対して、ジュール加熱は組織に電流を通した際の電気抵抗によって熱を発生させます。ジュール加熱の場合は、電流がある程度流れるという条件でなければいけません。


通常のジュール加熱では脂肪細胞内に電流が流れることはない


高周波エネルギーが体内に流れると、電気抵抗によって熱が発生します。これが「ジュール加熱」と呼ばれる脂肪加熱方法です。脂肪層の温度上昇は、ジュール熱に基づいています。

通常、電流を流しても脂肪細胞に電流は流れません。脂肪細胞を包んでいる細胞膜が絶縁体となっており、電気を流さないからです。そのため、ジュール加熱では電流が細胞外液や間質液に流れます。


細胞膜の容量特性と脂肪細胞内に電流が流れる仕組み


容量特性


細胞膜はリン脂質をはじめとする脂質でできており、基本的に電気を通しません。しかし、細胞膜にはリン脂質のほかにイオンチャネルやナトリウムチャネルという孔が存在します。

イオンチャネルやナトリウムチャネルには、電荷をため込む性質があり、脂肪細胞に電流を流すと細胞質に電気が流れている状態になります。これが、細胞膜の容量特性です。


脂肪細胞内部で急激な温度上昇が起こるわけ


細胞膜の容量特性によって脂肪細胞内に電荷がたまると、細胞の片方にプラスの電荷が集まり反対側にマイナスの電荷が集まります。

これはコンデンサーと同じ状態だといえます。コンデンサーに電流が流れる原理と同じ現象が、脂肪細胞でも発生。プラスの電荷が集まっているほうからマイナスの電荷が集まっているほうへと、電流が流れ始めます。

その際、電気抵抗が高いトリグリセリドなどに無理やり電流を流している状態であるため、高い電気抵抗によりジュール加熱が発生します。

これがRF(高周波)によって細胞内で急激に温度上昇が起きるメカニズムです。なお、脂肪細胞内に電流が流れるまでは、細胞外液からじんわりと細胞質が温められているだけなので、急激な温度上昇は発生しません。


効率的な加熱を実現する技術:ハンドピース設計における工夫


ジュール熱の発熱メカニズムには、電気抵抗が大きくかかわっています。電流が流れる距離が長くなると電気抵抗が大きくなり、熱が発生しやすくなるのです。

つまり、脂肪細胞が厚ければ厚いほど、熱が発生しやすくなります。しかし、この事実はいかなる場合も不変です。そのため、RF(高周波)機器のエンジニアは電流密度に注目して、ハンドピース設計に工夫を凝らさなくてはいけません。


脂肪細胞の温度上昇に重要なのは「電流密度」


電流密度


RF(高周波)機器で脂肪細胞を加熱する際は、単純な照射時間ではなく電流密度に大きく依存します。

長時間にわたり照射したとしても、脂肪細胞が効率的に温度上昇するとは限りません。効率よく脂肪細胞にアプローチするには、電流密度を高める必要があるといえるでしょう。

電流密度とは、表面積に対してどれくらいの電流が流れるのを示した値のこと。いかにしてターゲット部位に電流を集中させ、高い電流密度を生み出すかが効率的な温度上昇を実現するための重要なポイントとなります。


理想的なハンドピースのデザイン


電流密度を高めるための理想的な電極は、下側が飛び出している形でいわゆる「下に凸」の形状です。

この形状であれば電流密度が高まり、電極の直下にホットスポットといわれる熱だまりができます。このホットスポットが、狙った脂肪層をピンポイントで効率の良い加熱を実現します。


高周波(RF)治療における注意点


RF(高周波)を肌に照射する際は、火傷に注意しなければいけません。高密度の電流を一点に集中させ続けると、皮膚表面の温度が上がりすぎて火傷のリスクが高まります。

そこで、ハンドピースを絶えず動かして照射部位を変え続けることで、皮膚表面の温度上昇を抑えつつ、深部にある脂肪層にはジュール熱を徐々に蓄積させていくことができます。これにより、安全性と脂肪層の温度上昇効果の両立を目指します。


脂肪層に急激な温度上昇をもたらすならRF(高周波)のハンドピースに注目


痩身分野で注目される「脂肪層の温度上昇」を利用した先進のRF(高周波)技術について、その科学的根拠を深掘りしました。RF(高周波)は細胞膜の容量特性によって、脂肪細胞内部まで効率的に加熱できる点が特徴です。

効果を高める鍵は照射時間ではなく「電流密度」にあり、特定の電極形状や動的な照射テクニックによって、安全かつ深部に熱を届ける工夫がされています。ハンドピースのデザインにも注目して、クリニックでRF(高周波)機器を導入してみてください。


この件についての動画解説はこちら

人気記事ランキング

タグ一覧