catch-img

誘電加熱のモノポーラ方式とバイポーラ方式の違い|位相の干渉とは?

日夜、進化し続ける美容医療機器。その中でも、注目を集めているのがRF(高周波)を用いた美容医療機器です。

美容医療における高周波治療機器には様々な違いがありますが、今回は誘電加熱におけるモノポーラ方式とバイポーラ方式の違いについて詳しく解説。

また、バイポーラ方式の電場の特徴や位相の干渉についてもわかりやすくお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。



目次[非表示]

  1. 1.誘電加熱についておさらい
    1. 1.1.高周波治療における発熱プロセス
    2. 1.2.そもそも高周波治療とは?
  2. 2.モノポーラ方式とは?
    1. 2.1.モノポーラ方式の仕組み
    2. 2.2.モノポーラ方式のメリット・デメリット
  3. 3.バイポーラ方式とは?
    1. 3.1.バイポーラ方式の仕組み
    2. 3.2.バイポーラ方式のメリット・デメリット
  4. 4.誘電加熱におけるモノポーラとバイポーラの違いまとめ
  5. 5.高周波機器は適切に使い分けよう


誘電加熱についておさらい


モノポーラとバイポーラの違いの前に、誘電加熱とは何でしょうか?高周波治療の効果を適切に出すためには、発熱メカニズムを理解しておくことが大切です。まずは、誘電加熱についておさらいしましょう。


高周波治療における発熱プロセス


高周波治療には「ジュール加熱」と「誘電加熱」の2種類の発熱プロセスがあり、機器によって使い分けられています。ジュール加熱は肌の電気抵抗によって熱が生じます。

一方、誘電加熱は、肌の誘電率(電気の受けやすさ)によって発熱する仕組みです。電気の力を受けやすい分子同士が摩擦することで、熱エネルギーが生じます。


そもそも高周波治療とは?


そもそも高周波とは、非常に高い周波数の電磁波のことをいいます。「RF」とも呼ばれ、美容医療においても多く利用されています。

美容医療における高周波治療では、熱による線維芽細胞の活性化や熱たんぱく変性により、コラーゲン産生の促進やたるみの引き締め効果などが期待できます。


モノポーラ方式とは?


モノポーラ方式


美容医療で使用されている高周波機器にはモノポーラ方式とバイポーラ方式があります。まずは、モノポーラ方式の特徴を見ていきましょう。


モノポーラ方式の仕組み


モノポーラ方式は、1つの電極と対極板を用いた高周波機器です。電極のプラスとマイナスは高速で入れ替わり、高周波を流します。

電極から流された高周波は対極板で回収され、再び電極に戻る仕組みです。このメカニズムにより、真皮層や脂肪層まで熱を届け、強力に作用します。


また、モノポーラ方式では、照射したときに電場が照射したい部位の真ん中に向かうため、中心にホットスポットができるのが特徴です。照射する面積が大きいほど、熱が中心に集まりやすくなります。


モノポーラ方式のメリット・デメリット


モノポーラ方式のメリットは、皮膚の深く広い範囲を加熱できることです。これにより、たるみを改善し引き締める効果が期待できます。

一方、高エネルギーを照射するモノポーラ方式では、熱感や痛みのリスクがあるのがデメリット。患者様にリスクをしっかりと説明し、理解を得たうえで治療を進めましょう。


バイポーラ方式とは?


バイポーラ方式


続いて、バイポーラ方式の特徴を解説します。モノポーラ方式とどのように違うのか見ていきましょう。


バイポーラ方式の仕組み


バイポーラ方式は、2つの電極を用いた高周波機器です。モノポーラ方式のように対極板はありません。プラス極とマイナス極の間を高周波が行き来し、皮膚内に熱を生じさせます。高周波は浅い部分に狭い範囲で届くのが特徴です。
 
また、バイポーラ方式では照射によるホットスポットが分散します。これは、高周波を部位に流したときに位相の干渉が起こるためです。

バイポーラ方式では6.78MHzにおいて、電場の干渉パターンがより細かくなり、発熱分布も複雑になることがシミュレーションで明らかになっています。


バイポーラ方式のメリット・デメリット


バイポーラ方式のメリットは、肌の表層近くに熱を与えることでコラーゲン生成や繊維組織の収縮を促進し、真皮の弾力性向上が期待できることです。連続的な照射で、ハリ改善が見込まれます。

一方、バイポーラ方式は、位相の干渉によりホットスポットが分散され、深い層には熱が届かないのがデメリット。モノポーラ方式とバイポーラ方式は、肌症状に合わせて適切に使い分けることが求められます。


誘電加熱におけるモノポーラとバイポーラの違いまとめ


誘電加熱におけるモノポーラとバイポーラの違いがわかるよう、表で比較してみましょう。



モノポーラ方式

バイポーラ方式

高周波の届き方

1つの電極と対極板を行き来する

2つの電極の間を行き来する

高周波の深達度

真皮層や脂肪層まで届く

表層近くに届く

ホットスポット

真ん中に集中する

分散する

メリット

深く広い範囲に熱を与えられる

真皮の弾力性アップが期待できる

デメリット

痛みや熱感のリスクがある

深い層には熱が届かない


モノポーラ方式とバイポーラ方式では、高周波の届き方から深達度、ホットスポットの生じ方にまで違いがあります。美容医療における高周波治療では、機器の特徴を理解し、患者様の肌症状を見極めて適切な治療法を提案することが大切です。


高周波機器は適切に使い分けよう


誘電加熱のモノポーラ方式とバイポーラ方式では、それぞれ特徴が違います。深い層へのアプローチが必要な場合はモノポーラ、真皮層の弾力性アップを目指すならバイポーラというように、患者様の肌悩みに合わせて使用機器を使い分けることが大切です。

​​​​​​​また、高周波機器の使用にはメリットだけでなくデメリットもあるため、患者様の納得のいく説明ができるよう知識を深めておきましょう。


この件についての動画解説はこちら​​​​​​​​​​​​​​




人気記事ランキング

タグ一覧