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地方クリニック経営の課題とは?自費診療の導入について

地方のクリニックは、人口減少に伴う患者数の減少や院長の高齢化により売り上げが下がり、経営難に陥っている状況。今回は、東京美容医療クリニック院長 のレーザーキングこと高尚威医師と、SSFホールディングスで開業コンサルタントとして活躍するさや姉が、地方クリニックの経営難の背景を解説します。

「経営が厳しい」「経営が破綻しそう」とお悩みの方に向けて、経営改善に向けた課題や実際に取り組みたい方法も紹介するので、安定したクリニック経営を実現するための参考にしてください。


目次[非表示]

  1. 1.なぜ地方クリニック経営は厳しいのか?原因5つ
    1. 1.1.患者数の減少
    2. 1.2.診療報酬の減少と保険制度の変化
    3. 1.3.人材確保の難しさ
    4. 1.4.院長の高齢化
    5. 1.5.後継者の育成が進まない
  2. 2.経営改善へ!今すぐ取り組みたい具体策
    1. 2.1.患者ニーズの把握
    2. 2.2.保険診療と自費診療のバランスを整える
    3. 2.3.後継者育成の土台作り
  3. 3.「治す」保険診療から「予防」を目指す自費診療へ


なぜ地方クリニック経営は厳しいのか?原因5つ


ここでは、「なぜ現在地方クリニック経営が厳しい状況に陥っているのか」について具体的な原因を5つ挙げて解説します。


患者数の減少


総務省統計局によると、日本の総人口は2024年10月の時点で14年連続減少しています。これにより、病気にかかって病院を受診する患者様自体が減ることが予測できます。

受診する人数が減少すれば、もちろん売り上げも減少。約1,000~1,500万円ほどの売り上げがあるクリニックで考えると、約300~400万円ほどの減少が考えられます。


診療報酬の減少と保険制度の変化


日本では、診療行為に対して厚生労働大臣が定めた点数によって診療報酬が定められています。この点数を足した金額が診療にかかる医療費です。これは患者様と患者様が加入する医療保険者から支払われます。

2024年、「診療報酬改定」によって初診料や再診料などの診療報酬の点数が引き上げられました。このことで患者様が支払う自己負担額が増加し、風邪など軽い症状では受診を控えるという考えに。患者数の減少に拍車をかけ、診療報酬が減少につながっています。


人材確保の難しさ


引き継ぐ


地方の個人クリニックの経営が厳しくなる原因として、人材確保が難しいことも挙げられます。例えば、今まで地方クリニックの後継者として育てられていた院長の子どもも、「患者数が少ないクリニックを継ぎたくない」「流行っていないクリニックは継がずに都会で働きたい」という思考に。

次の世代へと続くはずの後継者がいなくなることで、経営の維持が難しくなると予測できます。


院長の高齢化


地方クリニック経営が厳しくなっていく原因としては、院長の高齢化も挙げられます。

診療報酬が他の診療科より低く、患者を多く見なければ収益につながらない皮膚科を例に挙げると、「元気なころは1日150人診ていた」という方でも、年齢とともに患者数をこなすのが難しくなってくるでしょう。

年を重ねて1日30〜50人しか診察できなくなれば、収益は激減。経営破綻や経営赤字に悩むことになります。


後継者の育成が進まない


人口減少や保険制度の変化によってクリニックの売り上げが伸び悩むと、後継者である子どもたちの教育資金も足りなくなる恐れがあります。私立の医科大学はおろか、国公立大学への進学も難しくなる可能性があるのです。


経営改善へ!今すぐ取り組みたい具体策


地方クリニックの経営を改善するために、今すぐ取り組みたい具体策を3つ紹介します。


患者ニーズの把握


ゼロをプラスに


クリニックの経営改善のため、まず押さえておきたいのが患者様のニーズ。保険診療がメインで行われた今までは「体が悪くなってから治す」という考え方が一般的でした。

しかし、診療報酬が改定された現在では、「悪くならないようにする」という方向転換が起きています。「マイナスをゼロにする」のではなく、「ゼロをプラスにする」医療が求められていることを把握しておきましょう。


保険診療と自費診療のバランスを整える


クリニックの経営改善のためには、保険診療だけでなく、バランスよく自費診療も導入していくとよいでしょう。患者様のニーズは、美容医療のような「常に健康できれいでいられるようにメンテナンスをする」という方向に変化することが考えられます。

自費診療であれば、患者様が自分の体に合った「ゼロをプラスにする」ような医療を選択できる可能性が高まります。

他のクリニックと差別化するためにも、早いうちから自費診療を導入するための土台を整えておくことが大切です。


後継者育成の土台作り


保険診療が今後ますます減少していくと考えられる現在、自費診療を導入して売り上げを伸ばし、経営を安定させることが大切。

自身の子どもが医学部へ通えるだけの資金を作ることは、後継者を育てるうえで大変重要です。経営が安定しており、後継者が「継ぎたい」と思えるクリニックを目指しましょう。


「治す」保険診療から「予防」を目指す自費診療へ


地方クリニック経営は、患者数の減少や院長の高齢化が主な原因となり、厳しい状況にあります。

しかし、売り上げが減少している原因や取り組むべき課題を正しく理解し、解決策を講じれば経営改善も夢ではありません。

今のうちから、患者様のニーズに応えられるよう、保険診療だけではなく自費診療もバランスよく導入して、「ゼロをプラスにする」医療を提供できるよう体制を整えておくのがおすすめです。

後継者育成の資金の土台も作って、長く安定して経営できるクリニックを目指しましょう。



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