
自費診療の美容機器はリースできる?開業時に機器をそろえる方法を解説
自費診療クリニックの開業や新規設備導入を検討する際、多くのドクターが初期投資の負担軽減策として「美容機器のリース」に関心を寄せます。
保険診療では電子カルテからPC、医療機器までリースで一括でそろえるのが一般的ですが、自費診療、とくに美容医療の分野では事情が異なる場合があります。果たして、自費診療で使う美容機器やエステ機器はレンタルできるのでしょうか?
この記事では、自費診療における美容機器リースの可否とその理由、資金調達方法や減価償却の仕方について詳しく解説します。
目次[非表示]
自費診療の美容機器はリースが難しいといわれる理由
保険診療と同じ感覚で美容機器のリースを検討すると、思わぬ壁にぶつかることがあります。その主な理由を探ってみましょう。
そもそも医療機器のリースとは?
保険診療では、電子カルテシステムやそれに付随するパソコン、さらには検査機器など、多くの医療機器がリースで導入されています。そもそもリースとは、医療機関がリース会社から多種多様な機器を借りて利用する仕組みのこと。
期間はおおよそ5~7年で、比較的長期にわたる点が特徴です。医療機器はとくに高額なので、リースを活用することで設備導入におけるハードルを下げられるでしょう。
医療機器のリースにおけるメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット |
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デメリット |
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なお、リースと似ている仕組みで、医療機器のレンタルサービスもあります。リースと異なるのは、レンタルの場合は機器を借りるのが1日~数ヶ月ほどの短期間だという点。症例が少ない場合は、レンタルを活用するのも選択肢の1つです。
未承認機はリースが組めない
自費診療で使用されるレーザー機器や光治療器などの美容機器は、大半が未承認機です。未承認機は、医薬品医療機器等法第23条で定められた承認を得ていない医療機器や美容機器を指します。
承認機は厚生労働省からお墨付きを得た機器ということになりますが、未承認機だからといって効果に信ぴょう性がないというわけではありません。未承認機を医療行為に使っても法律上は問題なく、医師の裁量で導入が可能です。
ただし、医療機器のリースを考える場合においては、承認機か未承認機かが重要なポイントです。未承認機はリースが組めないため、設備を導入するなら一括払いで購入しなければいけなくなります。
未承認機が承認を得るにはお金と時間がかかる
未承認機が承認を得るには、機器の種類によりますが4~12ヶ月ほどの期間を要します。申請に必要な費用は40~900万円ほどと、決して安くはない金額です。そのため、未承認機が承認を得ようと思うと、機器自体の価格が上がる要因になりかねません。
したがって、自費診療クリニックを開業する際は、未承認機でそろえた方がトータルコストを抑えられる可能性もあるのです。なお、承認機と未承認機を組み合わせて設備を整えることも可能なので、機器の性能や特徴、トータルコストを考えて決めるといいでしょう。
リースが難しい場合の方法:購入と資金調達
美容機器のリースが現実的でない場合、クリニックはどのように高額な設備投資を行うのでしょうか? ここからは、主流となっている方法をご紹介します。
主流は銀行融資による一括購入
自費診療で使われる未承認の美容機器はリースが難しいため、必然的に「購入」という選択肢が主流になります。しかし、高額な美容機器を一括で現金購入するのは、開業時においては資金繰りの面で大きな負担に。そこで、多くのクリニックが活用するのが銀行からの融資です。
借入先を決めたら本人確認書類のほかに、事業計画書や設備の見積書などを金融機関に提出します。また、融資担当者との面談でお金を本当に返済できるかをチェックされてから、審査がスタート。おおむね2週間で融資を受けられるかどうかが分かるでしょう。
その後、指定した口座に開業資金が振り込まれるという流れです。これにより、手元資金を温存しつつ、必要な機器を導入することが可能になります。
購入した場合の経理処理:減価償却について
美容機器を購入した場合、経理上の処理もリースとは異なります。購入した機器はクリニックの資産となり、取得時にかかった金額を耐用年数で割って、毎年経費として計上していく「減価償却」という処理をしなければいけません。
例えば1,000万円の機器を購入した場合、美容機器の耐用年数が5年だとすると、単純計算で年間200万円ずつを経費として計上していくことになります。
経費が多ければ多いほど所得が減り、所得税や法人税を節税できるメリットもあるといえるでしょう。この点は、資金計画や税務戦略を立てる上で重要なポイントとなります。
自費診療のクリニック開業時は融資を受けて機器を購入しよう
自費診療において、美容機器などの未承認機を導入する際は、リースが組めません。承認を得るとリースが組めますが、時間と費用がかかるためトータルコストが上がる要因に。
そのため、多くのクリニックでは銀行融資を活用して、機器を購入するのが一般的です。また、購入すると減価償却で経費計上でき、節税もできるでしょう。リースの仕組みや購入後の経費処理についても知り、ご自身のクリニックの状況に合わせて、最適な機器導入戦略を立てていきましょう。
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